1ヶ月で町の混雑状況の可視化を実現!
データ活用による地域貢献を見据えた、自治体の取り組み
和歌山県白浜町様
<話し手>
白浜町 総務課企画政策係 主任
鳴尾豪氏
<聞き手>
Legoliss シニアプロジェクトマネージャー
島野繁弘
Interview - インタビュー
白浜町では、災害時に使える耐災害ネットワークを構築し、インフラとして維持していくための取り組みの中で、平時のインフラ活用の効果検証を行うためのデータ収集に関する課題を抱えていました。
Leoglissをパートナーとして実証実験に至るまでの経緯や取り組みの効果、そして今後のデータ活用についてお話を伺いました。
震災をきっかけに、耐災害ネットワークの実証実験をスタート
まず、“海と温泉のリゾート地”として有名な白浜町の魅力を教えてください。
真っ白な砂浜が広がる白良浜に、パンダを間近で見ることができるアドベンチャーワールド、そして日本三古湯に数えられる白浜温泉など、和歌山県白浜町は観光地として人気です。
最近では、“ワーケーションの聖地”としても人気ですが、その理由は?
空港が隣接しておりアクセスが良いため多くの観光客が訪れるほか、「ワーケーション」という言葉が一般的になる前からIT企業の誘致に力を入れており、ITオフィス等の施設整備やワーケーション環境のPRを進め、今では多くのIT企業がオフィスを構えています。
南紀白浜(なんきしらはま)は、世界初の耐災害ネットワーク実証実験を行ったことでも知られていますが、どのような背景から実証実験に至ったのですか?
白浜町では東日本大震災を契機に、災害時でも途切れない‟耐災害ネットワーク”の構築に注力し、2015年に国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と共同で「南紀白浜で世界初の耐災害ネットワーク実証実験」を開始しました。耐災害ネットワークとは、災害時に住民や観光客の安否確認を行ったり、避難所情報を提供したりするためのネットワークで、東日本大震災時に情報通信ネットワークに被害や障害が発生したことを受け、各自治体への導入に関心が高まっています。
災害対策におけるネットワークの構築に注力したんですね。今回の実証実験でも、そこがキモとなりましたね。
災害時のみ活躍するネットワークとなると、導入・維持にかかるコストの観点から早急な導入を行うことは難しい状況です。この度の実証実験では、耐災害ネットワークの普及促進を目指し、平時にも活用できるモデルの検証として、観光客やワーケーションで訪れた方などがフリーWi-Fiとして利用できる環境を整えました。
現状、耐災害ネットワークの平時利用において、自治体のモデルケースとなるような取り組みは進んでいないため、この実証実験を通して、防災減災と地域振興の両面で有用なモデルが確立できるよう期待されています。
地域振興に活かすためのデータを収集し、町の可視化を実現
今回の実証実験の内容をより詳しく教えてください。
2015年に開始した実証実験において、平時のフリーWi-Fiとしての活用の有用性を示すことはできたものの、コスト面に課題がありました。フリーWi-Fiのみの利用であれば、一般的なネットワークを導入する方がコストははるかに安く済むためです。しかし、そうなれば防災減災という当初の目的からは外れてしまいます。
そこで、コストに対するパフォーマンスを向上させ、防災減災と地域振興の両面で有用性を発揮する。
ために、平時にもネットワークが自発的に運用される仕組みを作り、フリーWi-Fiとしても使えて、なおかつ地域に有益な付加価値を与える利用方法を検討しました。
最近では、“ワーケーションの聖地”としても人気ですが、その理由は?
空港が隣接しておりアクセスが良いため多くの観光客が訪れるほか、「ワーケーション」という言葉が一般的になる前からIT企業の誘致に力を入れており、ITオフィス等の施設整備やワーケーション環境のPRを進め、今では多くのIT企業がオフィスを構えています。
付加価値を与える利用方法、というところから“データの活用”に着目されたのですね。
地元企業や進出企業、また住民の利活用をより具体化するためのさらなる実証実験として、地域のデータを自動収集し、収集したデータを企業や住民が利活用できるようにするためのプラットフォームの構築に取り組むことにしました。
プラットフォームの構築で、弊社が開発した「kukuLu」を選んでいただいた理由を教えてください。
プラットフォーム構築において、「kukuLu(ククル)」を採用した最大の理由は、短期間で構築し、データを可視化することが可能な点です。地域の企業や住民にデータを利活用してもらうためには、収集したデータを可視化し、具体的にどのような利活用ができるのかを検討しやすくする必要がありました。この要望に答えてくれたのが「kukuLu」です。
「kukuLu」は容易に構築することができ、さらに短期間でのデータの可視化を実現してくれました。
短期間で構築し、データを可視化させることはkukuLuの大きな強みです。
データを民間活用することで、地域への還元を目指す
実証実験ではどのようなデータの可視化が実現できましたか?
実証実験では、町内の人が集まる場所や観光地にカメラを設置し、「どこに、何時に、何人いたか」というデータの可視化を行いました。動画のままではデータ量が大きく、個人情報の問題などもあるため、AIを活用し‟人”を検出して人数を認識し、ミニマイズしたデータを収集し可視化しています。現時点では、この収集したデータに天候気象データのみ関連付けています。あくまで、‟こういうことができるのではないか?”という気づきを与えるための実証実験という位置づけです。
今回の実証実験を経て、データ活用について今後の展望があれば教えてください。
この実証実験での気づきからデータの具体的な活用方法を考えることが、これからの課題です。現在、スマートシティ・スーパーシティ構想に関する様々な取り組みが各地で行われていますが、自治体でインフラを整えて、民間で活用し自走できるようにすることが重要だと考えています。白浜町の住人や訪れる方にとって有益なものを提供できるかを第一に考え、これからも新たな取り組みを行っていきます。
白浜町さんの新たな取り組み、楽しみにしています。最後に、パートナーしてのLegolissの魅力、をお聞きできればと思います。
今回、1ヶ月というとても短い期間でプラットフォームを容易に構築することができ、データの可視化を行えたことは、白浜町にとって大きなメリットでした。今後はデータ活用において、‟誰もが等しく使いやすいデータにしなければならない”など、行政ならではの課題が多数出てくると考えています。「kukuLu」の特徴である「データの取り込み・加工の自由度の高さ」を活かし、地域にとって有益なデータ活用が行えるよう、今後もLegolissのサポートに期待しています。
今後、さらに白浜町さんのデータ活用に貢献できるよう、一緒にいろいろなお取り組みができたら嬉しいです。ありがとうございました。